藍染で変わる、服。

ある日チトセは、都内で行われたイベントにて”藍染”の活動をしている藍染師たちに出会った。

藍染は普遍的に広まってはいない。普段の生活で目にすることはほとんどない。だけど、藍染した藍色を見るとなぜか懐かしさを感じる。

「遠いけど、近い。」そんな不思議な色。

不思議なものは気になる。知りたくなる。僕たちは藍染を深く知りたくなって、彼らに密着を依頼した。

深く特別な理由があったというわけでもない。

思わず依頼してしまったのは、彼らの藍染を語る目がすごく生き生きとしていて、魅力を伝えたいという想いが真に届いたからだ。

すると、快く承諾してくれた。僭越ながら、その藍染師たちを紹介しよう。

ひかるさん(右)とそうたさん(左)だ。

「ひかるさんが19歳の頃、服の生産工場を見学するために全国をまわっていたとき、徳島にて偶然にも藍染を生業とされている方に出会い、藍染の魅力に惹かれ始めることとなる。

そうたさんはひかるさんと幼馴染みで、自然な成り行きにより2人で藍染をやっていくことに。

現在は、『14(じゅうよん)』というブランドを立ち上げ、藍染を中心に服の魅力を伝えることに邁進している。」

おっと、お2人の詳しいことは、2つ目のインタビューの記事を読んでほしい。慣れ初めは手短にしておこうか。

今回の記事では”藍染”自体にフォーカス。いままで慣れ親しんだ洋服が、藍染によってどのように変化していくのか。

その過程を追いながら、魅力のかけらを丁寧に紹介していく。

藍染する洋服

-用意したアイテムの選定理由や基準はありますか?

14で提案する物の特徴として、ぱっと見は素朴な印象を持つアイテムが多いのですが、すべて素材の良さを重視しています。

その中でわずかにズレがあるなと感じたものを選んでいます。

今回のベストでいうと、首の空き具合が少しだけ狭く感じるアイテムだったり、そんなわずかな部分に面白みを感じています。

ここは、藍染するアイテムもしないアイテムも同じところです。

藍染するアイテムのみに関して言えるのは、どういう色味になるのかという点と、その色味が生地とマッチするかという部分にこだわっています。

ベストのねずみ色にしても、ビビットカラーのような強い印象はないですが、どことなく涼しげで日本らしさを感じる色というか、

着た人を見た人にも涼しげな印象を与えてあげられるようなアイテムにしようと考えました。

すべてのアイテムに共通して言えることとしては、服を着る人が自分の好きなように着てもらいたいので、色味や形にしてもニュートラルな服たちです。

それは、素朴な物の持つ特色の1つです。

染めの準備

-染める前にしている準備はありますか?

服に残っている不純物を取り除くため、それぞれの素材に合わせた洗剤とお湯を使用してソーピングを行っています。この工程により、染めムラを防ぐことができます。

一瞬にして浮かびあがる鮮やかな色

-この藍染の粉の名称はなんでしょうか?

僕らは、本藍染めという手法でスクモという天然素材を使用しています。

染め液をまず作っていくのですが、その日の気温、温度、天候により藍の調子はまったく異なり、その日の藍の状態によっては日本酒を入れたりして調節を行う日もあります。

今日はちょっと濃いですね。ほんとうに何度やっても新たな発見が多く、いつも緊張する重要な作業です。

僕の藍染の師匠も何十年も気候など条件を記録しながら藍染をしているんですが、その方でさえも毎回同じ色は出せないと言ってましたね。

それくらい難しいですし、そこに、面白さがあります。

藍染め

-染める前に洋服を水につけるんですね。理由はあるんでしょうか?

染色を行なう物は、あらかじめ水に浸して干してからおき、濡れた状態で染色することによって染めムラを軽減します。

そこから染色していくのですが、染め液に浸していくときに空気が入りこまないよう、大げさに感じるほど丁寧にゆっくりと浸します。

そして全体が染め液に沈んだら、隅々まで丁寧に揉み込んでいき液を生地の中に浸透させていきます。

ポケットの裏や、シャツの前立ての裏地など、細かい部分にも気を配りながら揉んでいきます。

-染め液につけている時は藍色っぽくないような気がします。

そうなんです。染め液につけて浸透してから、一旦あげて空気にさらします。空気に触れ酸化することで、色が変化していきます。

その工程を何度も繰り返すことによって藍色になっていくんですよ。

-ニットやシャツ、ジャケットと、生地の種類や厚さが異なるアイテムが揃っていますが、染める順番は考えているんでしょうか?

いつもは濃度の異なる染色液があるので、素材や生地の厚み、元々の色によって仕上げたい色味と照らし合わせて染めています。

今回は1つの桶を用意し、3回に分けてわずかに異なる分量で染色液を作り濃度を変えていたので、それに照らし合わせた順番にこだわっていました。

なので、いつもは順番というより、アイテムの素材と生地、元の色に合わせた濃度の染色液にこだわって行なっています。

-染め液につけたあと、水の入ったバケツにつけるんですね。

僕らは酸化した直後に洗いをかけることによって、繊維と結びつかなかった色素を取り除くことによって、ムラを軽減させます。

今日は時間の都合上できないのですが、このあとは通常、酢酸などで作った液に浸すことによって、より鮮やかな色味に仕上げることができます。

-染め液に浸けている時間によって、仕上がりの色の濃さは変わってくるんでしょうか?

はい、変わってきます。今回は通常よりかなり濃度の濃い染色液ですが、本来はもっと薄いので、素材と厚み、元の色に合わせた時間と回数が重要になります。

ただ、こればかりは過去に似たようなものを染めていてもまったく違う染まり方をすることがあるので、

その日に染めたものも見て臨機応変に対応しなければいけません。ここがかなり難しいポイントですね。

天日干し

-染めの後は天日干しするんですね。それにしても綺麗です。もう完成しているように見えます。

染めたとあとに一度天日干しを行い、そのあとに風邪通しがいい場所で陰干しをします。

数日室内で乾燥させ、この期間で更に酸化させて、色素を定着させるんです。その後に色留めという工程に移ります。

色留め

-色留めとはどのような工程なのでしょうか?

染めの後に乾燥させたものを水につけ、放置し、灰汁(あく)を抜いてから色留めの液に数時間浸し、乾燥させます。

-色留めの効果はなんでしょうか?

染色した後にはまだ藍の色素が完全に繊維に定着していません。そこを改善するために行います。

色留めをすることで色が落ちにくくすることができ、仕上げた色と長く付き合っていただくことができます。

洗い

-いよいよ最後の工程ですね。

はい。最後に洗いを行います。ここでもそれぞれの素材にあった洗剤を用いて、1つ1つ手洗いを行います。乾燥したら製品の完成です。

藍染した洋服

-お疲れさまでした。それでは、完成したアイテムをビフォーとアフターでみていきましょう。今回藍染を行ううえで、意識したことやポイントなどをアイテムごとに教えてください。

こちらのベストは裏地がついているので、染めたあとに行う洗いを入念にほどこしました。

このベストの魅力は首の空き具合や袖のわん曲がシャープでとてもきれいなことです。

花緑青(はなろくしょう)の繊細な色味と、大きめな水牛ボタンの相性がポイントです。

こちらはローゲージでストライプ柄のような隙間が空いているデザインなので、多少濃く染めることによって調和のとれた塩梅のアイテムに仕上げました。

せいひつな色味と、やや丸みのあるvネックのバランスが魅力です。

こちらは元の色がとても穏やかな雰囲気を感じるベージュだったので、

その雰囲気を染め上げた際にも残したく、あまり染めすぎないように意識しました。

ふっくらとした生地と柔和な水色がこれからの季節にはぴったりだと思います。

こちらはやや厚手のコットンにレーヨンが混紡された生地だったので、その独特の風合いを強調しようと思い濃く仕上げました。

ですが、レーヨンが混紡されていることによって水への耐性が弱いので、染色から洗いまで配慮しながら作業を行いました。

こちらはピッチ幅がやや太いストライプが施されていたので、濃く染色を行ない、ストライプの印象を和らげようと思い染色しました。

上品な藍色と、ボックス型のシャープなシルエットの相性がポイントです。

こちらはミリタリージャケットで無骨な印象があるのですが、水牛ボタンや光沢のあるコットンを使用しており魅力の詰まったアイテムだったので、

その雰囲気を変化させないようにニュートラルな花緑青に仕上げました。

フラップポケットだったり細やかなディティールも多かったので、時間をかけ隅々まで気を配り染色を行いました。

生地も厚手なので染色や洗いの回数も多くなります。

こちらはポケットがたくさん付いていたり機能性のつまったアイテムで、ジップも多く使用されていたため、ジップと色味のコントラストをつけようと思いやや濃い仕上がりで染色しました。

こちらもディティールが詰まったアイテムだったので、ジップやフラップ、フードなどは全開にして染色し、裏側まですべてを揉み込むようにして染色しました。

-す、すごい!どのアイテムも青空に映えそうな鮮やかなブルーに。どの服もお店では見られないような色味やデザインのアイテムばかりでほしいです。

本日はありがとうございました。

藍染の密着。

一生のうちでもう経験できないかもしれない。

そんな貴重な体験をさせていただいた。

工程1つ1つは本当に繊細で、秒単位で変化する藍染、気候に左右される藍染、毎回同じ色は出せない藍染。

色んな藍染の顔を見れた。

そんな藍染を操る藍染師の顔はどうなんだろう?

気になる。

だから、次は藍染師の顔を見ていこう。

2019-04-10|タグ:
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