“好きなものについてなら何時間でも語れる!”
そんなモノやコトがある人生は幸せだ。別に、知識の深さはまずもって重要じゃない。
好きなことを話しているとき、その人の目はキラキラとしている。子供のようにわんぱくな笑みを浮かべた彼・彼女の笑顔を見るにつけ、そんなことがある人生って素晴らしいよなあと感じられる。
ならば、 「共通の“好きなもの”がある仲間となら、まだ知らなかった情報や考え方を共有し、より“好きなもの”を深められるんじゃないか?」と僕らは思った。
思い立ったが吉日。休日の今日はなんと晴天だ。これはいますぐ始めるしかない!
そう思って急いで連絡し、友達に集まってもらったんだ。場所は公園の原っぱ。
今回集まったメンバーは全員社会人。
左から、さかもっち、じっちゃん、ようすけ、シュン、しゅんいち。今回は「服」について。
みんなどんな話をしてくれるのかな。それではいってみよう!
最近、私服なに着てる?

購入したシャツを説明するシュン。
最近だと<Yves Saint-Laurent>のシャツを古着屋で6000円程度で買ったかな。これなんだけど、横から見るとふわっとしたシルエット。全体的に少し大きめで袖丈はゆったり。俺の好きなゆるめなシルエットだからお気に入りなんだ。
その色、なかなかめずらしい色だよね、いいなぁ。どうして買おうと思ったの?
私服出勤の会社に勤めているんだけど、会社で着る用の服として買ったんだ。プライベート用に着ているシャツはあるけれど、ゆるいものやノーカラーのものばかりで、なんだか会社には着ていきづらい…。けれどこれは襟もあるし、少し大きめで、自分の「譲れない」も出せるからいいよね。
会社でカジュアルな服を着られるの、いいね! うちはスーツだから、オフィスカジュアルOKにしてほしいなぁ(笑)。
俺の会社ではスーツとオフィスカジュアルが半分半分かな。お客様のところへ行くときはスーツ。そうでないときはオフィスカジュアルで、わりと自由。オフィスカジュアルのときにしているのは、カッチリしている服装、靴はスニーカーでOKだから、オールホワイトの<zucca>のソックススニーカーを履くかな。
俺はスーツだし、社会人になりたてだからそういう話が羨ましいなぁ。あっ、疑問なんだけど、みんなは社会人になってから服にどれくらいお金使っている? あとはどれくらい着てるかな?

今年から社会人のじっちゃん。先輩たちに疑問をぶつける。
う〜ん。お金のかけ方については学生時代と変わらないけど、手に届くものが増えたかな。社会人になりたての頃、シュンにコーデュロイのパンツを買わされたこともあった。後悔はしていない良い買い物だったけど、良い値段だったな(笑)。
それはいい買い物だったね(笑)。でも、一週間のうちがほとんどスーツだったら、私服を着る機会が少ないしもったいない感じがしちゃうかもなあ。
そう、2日じゃ少ないんだよね〜。でも、だからこそ土日を楽しみにしてるかな。服が好きだからこそ、この2日間はめいいっぱい好きなものを着るぞ! みたいな。だから投資してしまう(笑)。

そうそう、仕事用の服は<UNIQLO>最強説あるよね?
分かる〜! <UNIQLO>の安さには助かっています…。仕事用にはもってこいだよね。
仕事用に限らず<UNIQLO>は着るよ。このロンTも<UNIQLO>のもので、このあいだ1500円で買いました。
本当に!? 買い物上手だなぁ、UNIQLO=安いってイメージが多少あったけど、最近はまったく感じないよね。すごいなぁ。
500円!? 大戸屋の定食より安い…。どこで買うの?
『MODE OFF』かな。今日履いている<クラークス>の靴は新品で買ったら2万円くらいするけど、4000円くらいで買った。

安すぎない? その値段のコーディネートには見えないね。
そもそも「モードオフに良いものがある」って考え方じゃないと入らないよね。値段にフォーカスして言えば、安い服を買うなら古着屋に行くという選択になるけど、そうか、『MODE OFF』の選択肢もあるんだ!
行くと、「この値段で売っていいのかな?」ってお店に対して不安になるほど安く売っているときがあるからぜひ行ってみてほしい(笑)。
俺はさかもっちの話を聞くまでは、都心にあるような内装にこだわっているお店=高い服でこだわっているもの、町の古着屋=安い服で適当に作られているものが取り揃えているってイメージがあったなぁ。
全然そんなことない! 学生時代、部活をやっていたからあまり服にお金をかけられなくて、どこに安く良い服があるのかを血眼で探した経験があるから断言できる!
そうなのか! どんな服、どんなブランドがどういうお店にあるかが分からないから、「きれいなお店だったらきっと良い服やブランドがある、そうでない店なら良い服も良いブランドもない」って単純に考えていたから目から鱗だ。

さかもっちが血眼で探していた学生時代、一方で俺は、服を探すのにお金も時間もかけたくなかったから、<ZOZO TOWN>や<mirabella homme>といったECサイトで買ってたっけなぁ。ある程度どのお店にどのようなアイテムがあるかの目星をつけて、買いに行った。
当時は目星をつけないと、「今日は服を買うぞー」って日があったときに、寄る店寄る店に目当てのものがなくて、何も買えずにその日を終えるのが悲しくて…。そういった意味で目星をつけてたんだ。もちろん今は探す楽しさを知っているけどね(笑)。

たしかに…。でも、俺の場合は自分の着たいサイズ感を分かっているのでそんなに迷わないのかも。たとえば、代官山の『O』で買った<KAIKO>のカットソーを持っているけど、サイトの写真や説明を読んで、「自分の着方だったらLで買えば、ネックまわりも袖もちょうどいいかな」って感じで、だいたい理想のものは手にできているかなぁ。
なるほど、自分に似合うサイズが分かっていると楽だね。
そうだね。最近だと、ECサイトでアバウトに「こういうのが欲しいな」と自分で想像しているものを、絞り込み機能を使ってフィルターをかけて検索をして、良いものを見つけられたら実店舗へ行って買う買わないを決める。そんな使い方をしてるかな。まだ持っていないブランドならなおさら見たい、すでに持っているブランドのものなら見なくとも買う…って買い方をしてる。

なるほどね…。「ちゃんと見て買わないと派」から言えば、たとえばECサイトでモックネックを買って、届いてみたら野球のアンダーシャツみたいなのが届いたら嫌で怖いから(笑)。
ネック部分に背番号と自分の名前が入っているやつか(笑)。
そうそう(笑)。そんなことはないとは思うけど、首部分の少しのところでもこだわりたいと思っているから、なるべくは試着したい。
服との馴れ初めって?

今の服装と大学1、2年の頃とで、服の系統が変わったからお金を使ったなぁって。そんななか、じっちゃんはあまり系統自体は変わってないよね。服はどういう馴れ初めで好きになったの?
好きになった時期は高校2年生の頃かな。具体的には<WEGO>や<SPINS>から入ったよ。
<JEANS MATE>、<WEGO>、<RAGE BLUE>はまちがいなく通るよね(笑)。
みんな通る道だよね(笑)。地元に<WEGO>があるのに、わざわざ原宿のに行っていたな、なんでだったんだろう。「都内のアパレルに行っている自分」に酔いたかったのかも(笑)。そんなときもあったなあ。
原宿に行って長めのネックレスをつけて帰ったな。琥珀とシルバーのやつ。
茶色の紐で10円玉みたいな装飾がついてるネックレスもつけてた。

それぞれの服との馴れ初めで盛り上がる一同。
<RAGE BLUE>とか<HARE>あたりまでは俺も通ったんだよ。でも、そこで俺は止まってしまっていて。このあとってみんなはどこへ行ったの? 俺は服への興味はあまり持たず、これくらいのものを着とけばまちがってはいないでしょ? なんて方向へ進んだんだけど。
きっと読む雑誌や関わる人次第だよね。「サークルでお金がない! だけど女の子ウケも狙いたい!」みたいなときは、男性誌の「安くてかっこいい」特集記事にあったものを見るだろうし。
キャメルのチェスターコートとか、黒スキニーや、あとは大学でこのブランドの革靴を履いていない男子に出会わない日はないってくらい男子大学生に人気の革靴ブランドとかね。みんな“お揃いなの?”ってくらい履いていたからな。俺は革靴をこのブランドしか知らなかったんだ…。黄色いステッチがおしゃれなんだけど、古着屋で買うと偽物があったりしてね…。
しゅんいちが履いている革靴を見る一同。
いわゆる“鉄板”をつらぬく人もいたし、下北沢へ行く人もいたし、ハイブランドや“トーキョーブランド”って言われるものに手を出す人もいたし。でもさ、大学生って精々バイトで稼いでも1ヶ月で8万円程度でしょ、そのなかで服にかけられるのって…2~3万円くらいじゃなかった?
俺は部活をやっていてそんなにお金をかけられなかったから、下北沢で安く味のあるものを足で探して勝ちえていたよ(笑)。
俺は大学の最寄りが表参道だったから、当時は『ELCASION』に行ってた。
あったあった(笑)。みんな行ってましたよね。しかし、みんな入り口は似たところから入るけど、大学1、2年生の環境で違くなるんだね。面白い。
俺も高校生までは『Samurai ELO』を読んでイキっていた高校生だったけど、大学1年生までは正統派に進んでいったんだよ。でもそこで進化を諦めた。なんかサークル内で承認欲求が満たされちゃって。サークル内の人から「あれ、しゅんいちくん、なんかチェスターコートめっちゃ似合うね。」「でしょ?」みたいな。古着に関して言うと、当たり外れを見分ける眼がなかったから古着には進まなかったな。

イキっていた? 高校生時代を送ったしゅんいち。
古着は場数を踏む意味で色々買わないとだよね、眼を鍛えるために。あとは頭の中に自分のクローゼットを出して(これちょっと変わってるけど、持ってるやつと上手く合いそうだ)みたいな感じで選ぶ。
組み合わせに成功したことがない、着てみたらだいたいあれ、想像してたんとちゃう、となってしまう…。
色々と古着を買って、そのたびに失敗した経験は誰しもある。しゅんいちはまず古着への挑戦をしないとだね。
俺の好きなサカナクションの山口一郎になるためには、値段の高い服を買わないといけないのかなと思っているけど、それは違うの?
さかもっちみたく、コーディネート次第で上手くできる場合もあるしね。
そうそう、なんていうんだろ…。これは個人的な意見だけど、「値段が高いものはかっこいい、美しいものだ」と安直に思ってしまうのは、それはちょっと違うと思う。

なんというか、ブランドが悪いと言ってるわけではないけど、20代前半の僕たちにはまだ背伸びしすぎているような。学生の頃から今まで、色々と着た結果自分に合う服の色味、サイズ感ってどういうものか分かったつもりなんだけどさ。自分自身まだ20代前半だから、服の選び方でこれからも失敗することはたくさんあるとは思う。それでも、これがあと10年経てば、このブランドが自分には似合うな、落ち着くなと思えるくらいには定まってくるんじゃないかと。そういえば、じっちゃんは何を参考にしてるの? じっちゃんって、もう服の系統が定まってる感じがする。『FUDGE』をよく読んでるのを見るけど、服装はそれとも違うよね。
『FUDGE』の世界観はたしかに好きだけど、ここに掲載されている服って、個人的に素材やパターンがハッキリしていると思っていて自分にはちょっと違うかなと思う。あとは、モデルが外国人だから似合うのかなとも。リアルで着たい私服を知るために読むのではなくて、この世界観が好きだから読んでるって感覚かな。
モデルが外国人はずるいよなぁ。「だってこの服が似合うのは外国人だからじゃん!」て思っちゃうところは正直ある。
話は戻るけど、じっちゃんはオリジナルな雰囲気のファッションだよね。なにかこだわりはあるの?
う~ん、人とは被らないものは着たいと思うけど、自分のフィーリングに合ったもの?

それが決まってないんだよね。今日の服装だったら、上から古着のシャツを藍染したもの、インナーは<FRED PERRY>、パンツは<ZUBON>、靴下は<無印良品>、靴は<CONVERSE>。これといって好きなブランドってものはないかな〜。
服とこれから

アースカラーは外せないよね。でも、コントラストがありすぎるファッションは嫌で「ベージュのTシャツに黒の短パン」とかそういうのはアースカラーでも…。ベージュはベージュでも、濃いベージュのチノパンにコントラストをつけて、ぼんわりベージュのようなものと合わせていきたい。
アースカラーって点でいくと、<MHL>の色味は落ち着いていておすすめ。
素材が良いから少しだけ高いかなあ。単純な理由だけど、良いと思ったものを買っているから、今年もそんな感じで「コレだ!」と思えるものと出会いたいな。
<L.L.Bean>のフリースジャケットかな。アウトドア系のアイテムをうまく普段着に絡ませたいっていう思いがあって。でも、<Patagonia>だとなんだかありふれているよなぁと思っていたので、値段もそこまで高くない<L.L.Bean>を選んだんだ。これが最高なもんで、着倒してる。

俺は<CHARI&CO>のブラウンベストと、<DESCENTE>のグレーのアノラックパーカー。これらは最近のマイベストかな。『UOMO』が好きで、上の世代の方々のコーディネートから最近の自分のファッションの着想を得ていて。たとえば同色のものでコーデを組んでも「素材で勝負」といったみたく、スポーツ系のものをうまく取り入れるスポーツスポーツしすぎない素材やサイズ感を意識しているかな。そういった服に対して少しゆるめな感じが、まさに<DESCENTE>や<CHARI&CO>には出ているから好き。アノラックパーカーは今後ネイビーとか黒あたりを買い足していきたいね。
なるほどね。みんな春夏と秋冬で服の系統は変わるの?
秋冬は『CLUEL homme』や『POPEYE』で取り上げられるようなヨーロピアンなテイストだけど、春夏は「自分スケボーやってます!」みたいなファッションになる(笑)。
ロンTよく買うよね。また同じようなもの買ってんなぁってくらいに(笑)。
ロンTの何がいいって、ただゆるゆるってことではなくて、ネックと袖はリブがあってジャストなんだけど、腕のたまりとか肩の落ち感がそれぞれに違って好き。
細かいところにこだわりがあるんだね。みんな、服の合わせ方で「こういうのは好きだぞ」ってある?
スラックスにキャップとか、合わせるにあたって違う要素を取り入れるのは好きかも。だからスラックスはカーキと黒と茶色と……7本くらいは持ってる(笑)。
どんな服装にも合うバランサー的要素があるね。革靴に合うスラックスもあるし、スニーカーに合うスラックスもあるし。
俺はあまりこだわりっていうよりは、無地のものとかガチャガチャしていないものを直感で「これ着たら面白そう」みたいなものを選んでいる節がある。う~ん、強いて言うなら長くきられるものを基準に買いたい。セットアップなどね。
Tシャツを多く持っているかな。鎖骨があまり見えないようなものや袖が少し長めのものは譲れないかも。
脱アースカラーをやってみようかなと。アースカラーと調和のとれるようなものを買っていきたい。この帽子もそう。
<Saturdays NYC>というブランド。アースカラー系もあって取り入れやすいし、キャップも種類豊富だし! 黄色とかオレンジは取り入れたい!
俺もオレンジを取り入れたいな…というか俺でも取り入れやすいブランドってなにかない?
俺のおすすめは<goopi>かな! この色味といいゆるさといい100点。オレンジを取り入れているスタイルもあるから。インスタがあるから見てほしい、ほら!
いいね、これ。なんかトップスに色味を取り入れたいなぁ。靴下は今まで取り入れたことはあるけど。
あとは<meanswhile>なんかは今季欲しいな! 俺の好きな水色のアイテムがあるし!
awだと<neverlamp>のアイテムは気になるな。
やっぱりスケーターブランドもいいよね。<Polar Skate Co.>、<POP TRADING COMPANY>とか、原宿にある『PROV』みたいなセレクトショップで大きく探してみるのもありだと思う。
終わりに
好きな飲み物と一緒に。ビール片手に語る人も。
…と案の定、好きな「服」に対して止まらないくらい話してくれた。
服に今どう向き合っているのか。これまでどのように関わってきたのか。そしてこれからどのようなものを着ていくのか。
まだまだ服への情熱を語ってもらいたいからまた開こうと思えた。今度はどんな話をしようかな。