【コーヒーが好きです。Vol.1】FLOWER COFFEE BREW / BARで見つけたコーヒーの楽しみ方

「そういえば、なんでコーヒーが好きになったんだっけ。」

大学時代に始めたカフェのバイトがきっかけで、コーヒーを飲むようになった僕。

最初は苦くて飲めなかったけど、徐々にコーヒーの世界を知り、今では毎日飲んでいる。

家でも仕事場でも、出かけた先のカフェでも。僕にとってコーヒーは、なくてはならない存在。

だけど最近、どうもコーヒーが美味しくないように感じている。

レシピだって間違っていないし、淹れ方だって問題ないはず。なのに、なにかが物足りない。

悩んだ僕は、カバンを片手に電車に乗り込んだ。コーヒーを美味しくしてくれる、”何か”を求めて。

vol.1 FLOWER COFFEE / BREW BAR

降りたったのは湘南の茅ヶ崎。日本有数のビーチリゾートとして知られるこの場所に、僕が求める”何か”があるかも知れない。

JR茅ヶ崎駅南口を出て雄三通りを海に向かってまっすぐ歩く。すると見えてくるのが、「FLOWER COFFEE / BREW BAR」。

湘南の爽やかな雰囲気に合う白い外壁と、海を連想させる青い内装が特徴のコーヒースタンド。

店名の「FLOWER」には、ここでサーブされる華やかな風味のコーヒーからイメージする『花』と、人生を『FLOW(自然体でその人らしく生きること)する』という意味が込められているんだって。

すでに店内にはお客さんが大勢いて、とても賑わっている様子だ。ちょっと緊張するけど、お店に入ってみよう。

“また飲みたい”。そう思ってもらえるのが美味しいコーヒー。

インテリアショップで働いていた経歴もあるオーナーの平尾智一さん。

「こんにちは!」

店に入ると笑顔で挨拶してくれる。僕も挨拶を返し、レジでコーヒーの注文を済ませて空いている椅子に腰掛けた。

店内は地元の人で賑わっていて、なんだかとても温かい雰囲気だ。

みんな楽しそうに、そして美味しそうにコーヒーを飲んでいる。

コーヒーを待つ間、僕はこの店のオーナーの平尾さんに話しかけてみることにした。

—急な質問ですみません。平尾さんの考える”美味しいコーヒー”って、何でしょうか?

すぐ答えるのは難しいですね…。もともと最初は自分の好みが優先でした。

だけど、コーヒーってここにたどり着くまでにいろいろな人が関わっているんですよね。

なのである程度の豆の特性、フレーバーは定まっていて、今僕はその味をしっかりと届けることにフォーカスしてレシピを作っています。

特に意識しているのは、ふとしたときに「また飲みたい」と思い返してもらえるような質感のコーヒーです。

何度でも飲みたくなる。そんなコーヒーが、「美味しいコーヒー」の答えかもしれないですね。

—FLOWER COFFEE / BREW BARでは2つのロースターの豆を使っていますよね。ロースターを選ぶ基準は何ですか?

僕が最初にスペシャルティコーヒーを飲んだときの感想は「すっぱい」だったんです。

それまでずっと深煎りのコーヒーに慣れ親しんできていて、サプライズを伴う経験でした。

そんな経験から、バランスのとれた焙煎を行うシドニー発祥の「SINGLE O」を取り扱いロースターに選びました。

SINGLE Oスタッフの底抜けなフレンドリーさ、彼らの気持ちが込もったパッケージのアートワークから伝わる遊び心は、この湘南の地域の色に合うんです。

お店も3年目を迎えて、このカルチャーに慣れたお客さんも増えてきました。

なので「この世界はまだまだ広がりがある」という想いを伝えるため、2つ目のロースターとして、福岡の「COFFEE COUNTY」さんの焙煎するコーヒーを今年から扱うようになりました。

この2つのロースターに共通することは「コーヒーに”丁寧に”向き合っている」ことなんですね。

それは、現地に足を運んで生産者ときちんと信頼関係を築いていたり、焙煎したコーヒーの特性やバックグラウンドを丁寧に伝えてくれたり。

美味しいだけではなくて、そんなスペシャリティコーヒーの本質的な価値を見せてくれるところに強い魅力を感じています。

エスプレッソトニックを一口すする。

トニックウォーターの甘みと、エスプレッソが持つフルーティさが絶妙に合う。

まるでフルーツジュースのようにジューシー。と同時に、爽やかな味わいだ。うん、美味しい。

コーヒーの醍醐味は、”リラックスできる”ことにある。ここはコーヒー片手に生まれるローカルなコミュニティ。

コーヒーを飲んでいる間にも、多くの人がこのお店に来てドリンクを片手に会話を楽しんでいる。

みんなすごく楽しそうで、幸せな空間だ。

—みなさんこのお店をとても楽しんでいるように思えます。なにか工夫をされていることはありますか?

茅ヶ崎は他の湘南エリアと比べてビジターが少ないんですよ。お客様の8割程度が地元の方といった感じで。なので必然的に顔見知りのお客様が多くなります。

そうなるとあえて他人行儀に接することはあまりなく、「いらっしゃいませ」ではなくて「こんにちは」と挨拶したり。自然と人対人の付き合いをするようになりました。

お互い無理せず過ごしているからこそ、楽しく見えるのかもしれませんね。

—(たまたまこのお店に来ていたお客さんに)このお店の好きなところはなんですか?

ここに来たら、知らない人でも話せる雰囲気があるんですよ。あたかも前から知ってたみたいに、お互いに初めましてでも仲良くなれるんですよ。

そして仲良くなっていくなかで、なにか新しいことが生まれそうな雰囲気がここにはあります。

—気づいたのですが、平尾さんってあまりコーヒーの話をされないですよね。コーヒーの話より雑談というか…。

コーヒーが手元に届くまでには沢山の人が関わっていて、想いや歴史もあって。だけどカウンター越しに注文を受けてからコーヒーを提供するまでの時間は限られているので、それらを一気に伝えるのは難しいことなんですよ。

力んでしまうと伝わるものも伝わりにくくなってしまう。それよりもカジュアルな話をしつつ、2、3割コーヒーの真面目な話をして、お店に来るたびにコーヒーの知識がアップデートされていくようなバランスが理想。

コーヒーの醍醐味は、リラックスできるところにあると思います。もちろんまじめな話も大切ですけど、難しくしすぎず、いかにスペシャルティコーヒーを楽しみながら自然と理解してもらうかが大事と感じています。

コーヒーの醍醐味はリラックスできるところ。

たしかに、ここに来る人はコーヒーを飲みつつ、お互いに会話を楽しんでいる。輪の中心にコーヒーがあるんだけど、目立ちすぎないというか。

本来のコーヒーの楽しみ方って、こういうものかもしれない。

湘南のコーヒーシーンを盛り上げたい。この場所がその出発点となるように。

—そういえば、この場所を選んだ理由はなぜですか?

単純に、生まれ育ったエリアだからです。茅ヶ崎には結婚してから住み始めましたが、自然体で心地よく生活できるのが魅力的です。

—すごくにぎやかで心地の良い空間ですよね。これからのFLOWER COFFEE / BREW BARの動きや、やってみたいことは?

お話してきた通り、ここは8割が地元のお客様。その方々の日常になるには、一歩一歩、一杯一杯を大切に伝えていかないといけないと感じています。

なのでしばらくはおおむねこのままやっていくことになるのですが、その小さな変化の中で、今後は少しずつ若手を育てていきたいと経営するなかで思っていますね。

僕1人の感性ではなく、みんなで次の広がりをつくっていけたらと思っています。

そんな動きのなかで、外への広がりとして「自分にもできるかも」と挑戦が起これば、このエリアのコーヒーシーンはもっとすてきになると思います。

少しずつ、でも着実に動きが広がっていったらうれしい。

スペシャルティコーヒーがひとつの選択肢として地域に根付いて、また、コーヒースタンドやカフェで沢山のコミュニケーションが生まれていく。

そしたら、湘南エリアの日常はもっともっと、より豊かなものになっていくと思います。

ただ、色々話してきましたけど、そうはいってもむずかしい話は抜きにして、せっかく茅ヶ崎へ来られたお客様には、ただ「海の近くで飲むコーヒー」を楽しんでほしいです。

やっぱり街で飲むそれとはまた違う感覚がありますから、テイクアウトしてビーチでリラックスしながらたしなむのもぜいたくな時間だと思いますね。

FLOWER COFFEE / BREW BARで見つけた、コーヒーを美味しくする”なにか”

「コーヒーのおいしい街は幸福度が高い」という考えがあるんですよ。僕はそれにすごく共感していて、コーヒーってコミュニケーションが生まれやすい飲み物なんですよね。それが地域に輪をつくり、そこから新しいモノコトが生まれる。

結果、街がより魅力的になる。ここ、FLOWER COFFEE / BREW BARがそんな動きのきっかけになっていったら嬉しいですよね。

最後に平尾さんは、コーヒーを通じた地域貢献へのご自身なりの考え方を押してくれた。

JR茅ヶ崎駅で東海道線に乗り、東京を目指す。

ゆっくりと目を閉じ、今日の1日を振り返る。

FLOWER COFFEE / BREW BARでの出会い、地域への貢献、そしてコーヒーを楽しむということ。

もしかしたら。

もしかしたら僕は、コーヒーを楽しめていなかったのかもしれない。

レシピや淹れ方にこだわりすぎていたのかもしれない。

FLOWER COFFEE / BREW BARのコーヒーはお客さんもオーナーの平尾さんもみんな、楽しそうにコーヒーを飲んでいた。

コーヒーの醍醐味はリラックスできること。

平尾さんに教えてもらったことを胸に、家に帰ったらすぐにコーヒーを淹れてみよう。

僕はコーヒーが、好きだから。

2019-08-21|
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