ギャラリーってどんな場所?

美術館やアート展にはよく行くけど、ギャラリーには入りにくい。

なんだか内輪ノリな気がするし、買わないと外に出られなくなりそうで…。

そう、偏見や思いこみは思ったよりも自分のなかに溢れていて、知らぬ間に新しい世界への門戸を狭めてしまう。

それってなんだかもったいないかも? と、僕らチトセは思うんだ。

みんな、偏見と思いこみは一切捨てて、アートへの好奇心を持ってみたいと思わない?

だって、ギャラリーは人の想像をかきたてる夢のような空間で、絵やアートを持つことって、みんなの生活をもっと豊かにしてくれるものだから。

今回は、僕らの友達のアユムが1日をかけてギャラリーを周り、芸術に触れること、自分の家に作品を飾ることの豊かさを体験した話を紹介したいと思う。

まずはギャラリーってどんなところなの? っていう素朴な疑問を解決するために、僕らは原宿にあるギャラリー『ブロックハウス』を訪れたんだ。

原宿駅で待ち合わせ

「久しぶり!」

アユムは百貨店で働く26歳。休日の個人活動として、パリに住む友人のブランド「アカシアレコード」というブランドのお手伝いもしている服が大好きな男の子。

そんな忙しい日常の合間を縫って訪れるのは、必ず美術館のアート展だというほどアートが好きなんだとか。

言わずもがなだけど、アユムのファッションセンスは抜群でいつも参考になる。今日もAラインの黒のアウターがキマってる。

シンプルだけど、アユムにはどこか洗練されたおしゃれさがあるんだよな…。

こちらに向かって手を振る彼の手元で揺れているブレスレットも、彼の雰囲気をより良く演出しているようだ。

BLOCK HOUSEに到着。

ブロックハウスは地下1階から地上4階の5フロア構成の建物で、その外観はコンクリートのブロックが積み重なったように見える。

まさにブロックハウスという言葉がぴったりな建物だ。

©︎ KABO

各フロアにはギャラリー「COMMON」(1F)、「HARUKAITO by island」(2F)、カフェバー(3F)、 そしてB1Fと4Fにある2つの小さなギャラリーと屋上のお茶室が入っている。

ギャラリーだけでなく様々なコンテンツを届けているこの空間は、”街の余白”をコンセプトに建てられたもの。

広場のように誰でも使える場所を作ることで、アートをきっかけにあらゆる人々が出会い、「新しいなにかが生まれるワクワクを共有すること」を目的としているそう。

今回お邪魔する個展は2階のギャラリー「HARUKAITO by island」で開催されている、∈Y∋(アイ)さんの「レコーン」。

僕らは今日、どんな新しいワクワクを体感できるんだろう。タイトルだけじゃどんな展示か分からない。まずは2階に上がってみよう。

∈Y∋「レコーン」

アユム
アユム
すごいな…。”ギャラリー”っていうから絵画が並んで展示されている空間かと思ってたけど。こんな展示もありなんだ。

パッと見ただけではハテナだらけだった僕たちは、オーナーの伊藤さんに「レコーン」の展示の意味を聞いてみた。

アユム
アユム
パッとみた印象では、「レコード」と「コーン」が掛け合わさった現代アートの展示なのかと感じたんですが、「レコーン」とは実際どんな意味なんでしょうか?
まさにその通りなんです。今回の「レコーン」を手がけている∈Y∋(アイ)さんは普段、「山塚アイ」という名前でバンドのボーカルやDJなど幅広く音楽活動をされている方。90年代から活躍されているので熱狂的な音楽ファンがいるんです。ジャケットを無くしてしまった自宅のレコードをたまたまコーンにはめてみたらきれいにハマったことから発想して、今回の展示に展開したそうです。
伊藤さん
伊藤さん

アユム
アユム
そんな偶然からこんな独創的な空間に…!
そうなんです! しかも実はこの展示、「スパイラルアート」になっていて。
伊藤さん
伊藤さん
アユム
アユム
スパイラルアート?
アイさん曰くこの展示は、レコーンという架空のトウモロコシ科の植物の「輪廻天生」を表しているそう。だから無限の循環を表す「スパイラルアート」と呼んでいるんです。
伊藤さん
伊藤さん
アユム
アユム
気になっていたんですけど、よく見るとところどころ散りばめられているポップコーンって…。
はい(笑)。そのポップコーンはコーンから飛び出した「レコーン」という植物の種を表現しているんです! そしてその種が実になったものがこの作品たち。
伊藤さん
伊藤さん
アユム
アユム
なるほど。遊び心と繋がりがある展示だったんですね。裏の話を聞くと、第一印象とまた見方が違ってきます。なんとなく愛着が湧いてきました(笑)。あれ、この真ん中の大きな赤いコーンにはレコードがないんですね?
実はこのコーン、楽器になっているんです。赤いコーンとその両脇にある黄色と緑のコーンがスピーカーになっていて、前に置いてある2つの黒いコーンを動かすことによって音を奏でられる仕組みになっています。
伊藤さん
伊藤さん
アユム
アユム
それは新しい! どういう構造になっているんですか?
板と2つのコーンにセンサーが取りつけられていて、コーンの位置やセンサーとの距離の取り方によって音が変わる仕様になっています。ぜひ、自由に動かしてみてください。
伊藤さん
伊藤さん

アユム
アユム
たしかに! ちょっと動かしてみるだけで、さっきまでとまったく違う音がでますね。コーンを逆さまにしたときの音がお気に入りかも。
動かしてみるとコツを掴めてきますよね。ちゃんと演奏できていましたよ!
伊藤さん
伊藤さん
アユム
アユム
ありがとうございます(笑)。ただ展示を見るだけじゃなくて、音楽と融合した体験も出来るなんて思ってなかったのでびっくりしました。だけど、アートって発想次第で色んな広がりがあって面白いですね。

ギャラリーってどんな場所?

アユム
アユム
僕はアートが好きなので美術館やアート展にはよく訪れるんですけど、なかなかギャラリーには足を踏み入れたことがなくて。なんでだろう、もともと知り合いの方しか来られないのかな、なんて勝手に思ってしまうんですよね…。
そんなことないですよ。今回のアイさんの展示だったら、音楽家としての「山塚アイ」が好きなので初めてギャラリーに来てみたという方もいました。
伊藤さん
伊藤さん
アユム
アユム
そんな入り口もあるんですね。たしかに、音楽っていう別ジャンルの趣味から世界を広げるのは間口としても受け入れやすそう。でも、90年代の音楽ファンだったらわりと年上の方なんでしょうか?
いや、そんなこともないです。ギャラリーに来られる方って昔は40~50代の方が多かったんですけど、今は30代くらいから、なかにはもっと若い方でも高価な作品を買って行かれる方が多くなってきました。昔に比べたら今の人の方が、他人の評価に踊らされず、自分の基準で良い! と思ったものにお金を出すようになっていると感じます。
伊藤さん
伊藤さん
アユム
アユム
そのほうがモノへの向き合い方としてかっこいいですよね! 僕も”自分の基準”がある30代になりたいな。
高価なものだとどうしても30代以降の方が多いですけど、このあいだはなんと大学生の子が問い合わせてくださりました。
伊藤さん
伊藤さん
アユム
アユム
え。大学生ですか。僕よりも年下の子が…。
就職する前の自分へのご褒美として記念に1作品買いたいんですと言って来てくれて、とても嬉しかったですね。
伊藤さん
伊藤さん
アユム
アユム
でも、そういう買い方ってすてきですよね。なにかの記念にとちょっと無理してでも買ってくれる人って、その作品だけじゃなくて、作家さんのことも好きなんだろうなって思います。今ってインターネットで簡単にモノを買える時代になったけど、アートを買うことはギャラリー全体の雰囲気を感じたり、作家さんやオーナーさんと話すことがセットになっている感覚がありますね。
そうなんです。アートって生活必需品ではないので、なにかの機会がないとやっぱり手に入れないじゃないですか。でもだからこそ、年齢を経ても形としてちゃんと残るし、作家さんとなにかしらの縁でつながっているような感覚になるんです。
伊藤さん
伊藤さん

ギャラリーって…。

アートを楽しむ場所って、なにも美術館やアート展だけじゃない。ギャラリーもアートを楽しむ場所の1つ。

ふとした待ち合わせまでの時間に覗けるものでもあれば、新居に引っ越したときにIKEAでカーテンを選ぶ感覚で、いつもよりちょっとセンスの良いアンティークの家具屋に入る感覚で訪れるものでもある。

なんだか入りにくいような感じがするのは最初だけ。

何度もふらりと寄っているうちに、ペットショップで目が合ってしまった子犬のようにどうしても連れて帰りたくなる作品に出会えるはず。

そしたらきっと、自分の部屋にもなにか飾りたくなる。しばらくすると壁が寂しく感じる。

そうして繰り返すうちに、夢を追いかけキラキラしている作家との”縁”も、アートがインテリアに馴染む上質な”暮らし”も手に入り、いつの間にか自分が好きなものがなにかが分かる、そんな芸術的感性が身につくんだと思う。

ギャラリーって、奥が深いなあ。

詳細情報

■BLOCK HOUSE

住所:東京都渋谷区神宮前6丁目12−9

電話:03-6318-2003

■∈Y∋ “レコーン”

期間:2019年11月23日(土)〜2020年01月25日(土)

会場:HARUKAITO by island

休館・休廊日:月曜〜水曜

開館時間:13:00〜19:00

 

モデル _ 松岡歩 ( @ayumumatsuoka )、ACACIAS RECORDS( @acaciasrecords

取材・文 _ 篠原ふうこ、御厨智也、吉川明里 / 撮影 _ 清水駿 / 編集 _ 清水駿

2020-01-19|
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