街と街の間に眠る魅力。nienteと探る、自転車の可能性

先日、友達が飲み会で言ったこんなセリフが、僕の記憶に強く残った。

「東京って、電車が網目のように張り巡らされている分、よほどのことがない限り駅のまわりしか歩かないよね。まるで、陸の孤島みたいだ。」

たしかにと思った。例えば、池尻大橋と三軒茶屋との間にある三宿が人気であるように、駅と駅の間にはたくさんの魅力的なお店が眠っている。

「どこからが下北沢で、どこからが三軒茶屋!?」なんて話をしたり、実際に歩けば、「え、この道を進むとこの街につながってるの!?」なんて驚くような発見があったり。

グラデーションのように変わっていく街の雰囲気を感じて、より東京の街について詳しくなる。そんな体験をしてみるのもいいものだ。

街と街の間にあるお店には、どちらの街にも染まらないからこそ生まれる、オリジナルな魅力がある。その魅力を、身をもって感じたい。

そう考えるようになったある日、インスタグラムでたまたま見つけたのがサイクルブランド<トーキョーバイク>。

最近何かと注目のお店がオープンし、ホットになりつつあるエリア “豪徳寺” に、同ブランドを取り扱う『niente』(ニエンテ)というお店があるらしい。

「自転車」が “陸の孤島” を打開できるアイテムなんじゃないかと思った僕は、善は急げと、お店に足を運ぶことにした。

nienteというお店。

小田急線「豪徳寺」駅から歩くこと5分。お店の前に陳列されたトーキョーバイクが見えた。間違いない、ここが目当てのお店ニエンテだ。

お店の前に並んでいる自転車に見惚れて、ついつい足が止まってしまう。外からもお店の中が見えるので、開放感があって初めての人も入りやすい印象だ。

よし、さっそく入ってみよう。

店内は、手前に自転車、奥に雑貨が並んでいる。

ショートケーキの苺を最後に残すように、メインの自転車は後にして、まずは雑貨を見ていこうっと。

自転車を扱っているからか、アウトドア寄りのアパレル商品から自転車のカスタムパーツなど、自転車のお供になるアイテムがずらりと並んでいる。

機能性はどうなっているんだろうと考えていると、オーナーの見城(ケンジョウ)さんが優しくアイテムの説明をしてくれた。

ケンジョウさん(以下、ケ):「こんにちは! うちを訪れるのは初めてですか?」

「はい! 最近自転車に興味を惹かれていて、そんな折にニエンテさんを見つけたので来てみました。」

ケ:「それはありがとうございます!」

「このキャップ、素材もデザインも良いですね。比較的安いのは、なにか理由があるんですか?」

ケ:「はい。そのキャップの素材は岡山で作られたセルヴィッチデニムで、ちょい傷や染めムラなどを理由に廃棄される予定だったんです。

でも品質的には問題ないので、捨ててしまうくらいなら私たちに買い取らせてくださいとお願いしました。

比較的安く仕入れられたので、価格も安く抑えられているんです。」

「そうなんですね! 素材選びにはどんなこだわりがあるんでしょうか?」

ケ:「僕らは、『物事の見方を変えて、新たな価値を創造する』というテーマでものづくりをしています。

このキャップの素材も本来だったら捨てられてしまうモノですが、自分たちなりの発想で手を加え、誰かの生活に寄り添う商品として新たな価値に生まれ変わらせることができる。

そういった感覚を大切にしながら、日々おもしろい素材がないかと探していますね。」

「“物事の見方を変える”。僕が最近考えていることに近いかもしれないです。もし良ければ、最近考えている自転車のことについて、お話を聞かせてもらってもいいですか?」

ケ:「ぜひ!」

今だから見出せる、自転車の可能性について。

「僕らが住んでいる東京という街は、電車が網目のように張り巡らされていることで移動が簡単なことは事実だと思うんですけど、その一方で、歩くのは駅のまわりだけだと思うんです。

そうした意味では、“駅と駅の間” って、見落とされているんじゃないかと思って。なんだかそれって、個人的にはすごくもったいない気がしています。」

ケ:「なるほど。」

「その解決策といってはなんですけど、昔からある自転車という移動手段がベストではないかと思ったんですよね。」

ケ:「そんなふうに考えていただいて嬉しい限りです。僕は自転車を、『好奇心増幅装置』だと思っていて。

移動手段としてだけではなく、誰かが持っている好奇心の背中を押して、気になっているお店や人に出向かせてくれる。

そんな役割を担っていると考えています。

また、目的地に向かう道中で、ふとした偶然の出会いをもたらしてくれるものとも。

電車だとどうしてもスマホをいじったりして下を向いてしまいますが、自転車は常にまわりに気を配る必要があります。

そうすると自然と視野も広がり、いろんな情報が飛びこんできて、五感が刺激されますよね。」

「『好奇心増幅装置』。たしかにそうかもしれないです。素敵な言葉ですね。」

nienteと地域の繋がり

「自転車はやはり地域に根づくイメージがあるんですが、地域の方たちとの交流はどうなんでしょうか?」

ケ:「新型コロナウイルスの影響で、今年の4月からは電車通勤から自転車通勤になったという人が増えています。

緊急事態宣言が解除された今も、その方たちからは自転車のおかげで行動範囲が広がった! という声をいただいていますね。

仕事で使わない方でも、徒歩圏内の場所は行き尽くしたからという理由で自転車をご購入いただいたりもしますし、お客さんによっては、何年も使っていない自転車を持って修理に来るお客さんも増えました。

本来はトーキョーバイクを中心に修理をしているのですが、このご時世なので、他ブランドの自転車もできる限り修理するなど、僕らなりにできる貢献をしています。」

「とても素敵ですね! 入ってくるときに気がついたんですけど、お店の前に周辺のショップカードがいくつかありますよね。地域のお店とも関わりが深いのでしょうか?」

ケ:「名刺を置いているのは、自転車をレンタルされたお客様に向けてこの街のお店を紹介することで、グッと体験の幅が広がると思ったんです。

まずは僕らがこの街を楽しみながら近所の方と繋がり、街の魅力を伝えていくことで、お客さんにも楽しんでもらいたいと思っています。」

「なるほど。他にはなにかありますか?」

ケ:「学生を応援するキャンペーンを行なっています。若い人は好奇心はもちろん、時間も体力もあるので。

自転車があることで行動範囲が広がり、人・モノ・コトへの出会いが増えてくれたらいいな、豊かな学生生活を送ってもらえたらいいなという思いでサポートしています。

具体的には、自転車を購入した際に、ベル、カギ、ライトの3点を無料でプレゼントしていますね。」

トーキョーバイクの話

「素敵な取り組みばかりですね…。トーキョーバイクの特徴を教えていただけますか?」

ケ:「そうですね、こぎ出した瞬間のスゥーっとスピードにのる軽やかさや、扱いやすさには自信があります。

それから、スポーツバイクというと一般的にはレース目立つようにブランドロゴが大きかったり、ボディのカラーが派手になりがちです。

ですが、トーキョーバイクは服やインテリアとの親和性を重視しています。そのため自転車ではなく乗る人が際立ったり、街の風景に合うような色合いにしていますよ。」

「たしかに色味がとってもおしゃれです。この自転車もかっこいいですね!」

ケ:「これは今年出た<TOKYOBIKE MONO>というモデルです。タイヤに安定性があって、ハンドルも手前にグッと近づいて、楽な姿勢で乗れるモデルになっています。

ここ数年、工場原価の高騰や自転車のスペックアップなどの理由で6〜7万円台のモデルが多かったのですが、もう少し気軽に乗れるようにと、今回の商品価格は4万円台に抑えました。」

「6、7万円台だと尻込みしちゃいますよね。4万円台であれば少しは手を出しやすいかもしれないです。

この自転車は、グリップやサドルはカスタムしていますか?」

ケ:「はい、していますよ!」

「カスタムって、実際いくらぐらいで可能なんでしょうか?」

ケ:「ものによりますが、本革グリップだと5,500円から、本革のサドルは1,5000円ぐらいから可能です。

その他だと、ハンドルの形状を帰る場合は2,000円ぐらいから、カゴや泥除けをつけたい場合は5,000円ぐらいからあります。

ちなみに革のサドルやグリップは、使用していくと経年変化で良い味になってくるんですよ。」

実際に自転車で街を回ってみることに

僕が感じていた自転車の可能性。見城さんが想う自転車の可能性。

自転車と日々向き合う見城さんと話したことで、かなり視界が広がった気がする。

同時に、自転車という手段を使って巡る街には、まだまだ楽しめる可能性があると感じた。知らない街が、まだまだあるって。

それを自分の五感で感じるために、ニエンテさんで自転車をレンタルし、街をまわってみることにしたんだ。

レンタルは予定になかったけど、そんな日があったっていいよね。

僕らの友達について

■ ゆうすい

Instagram:@yuuusui

今回訪れた場所はこちら

■niente(ニエンテ)

“物事の見方を変えると、日常がちょっとおもしろくなる。” がコンセプトのライフスタイルショップ。街を楽しむための自転車〈tokyo bike〉や、サステナブルな雑貨、オリジナルプロダクトなどを販売。現在、予約制で営業中。

住所:東京都世田谷区赤堤2-3-9-101

Instagram:@niente.co.jp

公式サイト:niente.co.jp

電話番号:03-6379-1705

※営業時間や定休日などは上記公式サイトの参照をお願いします。

記事の創り手について

イマイ キミアキ – 取材・執筆

日常のちょっとした瞬間から特別なシーンまで、“答え” ではなく “問い” を持ち、みなさんと共に考える余白をを意識してお伝えしていきます。

Instagram:@diamond19_k

ジツカワ タクミ – 執筆

“たくさんの人には知られていないけど、強く光るものにスポットライトを当てていく意識” を大切に、モノや人に寄り添ってお伝えします。

Instagram:@jitsu_tkm

シミズ シュン – 編集

チトセの代表と編集長、カメラマンを務めています。”僕らが楽しく生きるために” をテーマに、親しい友人から話を聞いているような、そんな等身大のメディアを目指して。「楽しいから楽しむのではない。楽しむから、楽しいのだ。」という言葉を大切にして、日々を生きています。

Instagram:@shun_booooy

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2020-07-25|
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