“早起きは三文の徳” ということわざがあるけれど、僕はこれまで早起きをして得したことがない。
平日は授業にバイトにサークルと忙しく、休みの日くらいは「起きるまで寝るんだ!」と自分自身に決意する。
目が覚め、時計を確認すると昼になっているのがいつもの流れだ。
普段の自分はそうだけど、今回は違う。なぜなら僕には、行きたい場所があった。
土曜日、午前8時。
カーテンの隙間から光が差し込む。5cmほど開けた窓の隙間から、朝の始まりを告げる鳥の鳴き声が聞こえてきた。
「8時か…」
眠いなとちょっとは思うけど、今日はウキウキとした気持ちで目を覚ました。
気になっていたあのお店に行けると考えると、自然と二度寝はしない。
クローゼットからお気に入りの1着を取り出して、いつもの自分らしい服装で。
ベルトを締めると、寝ていた体もやんわりと目を覚ましてくれた感覚がする。
身支度をぱぱっと済まし、家を出る。今朝の目的地は、逗子・葉山にあるお店『三角屋根 パンとコーヒー』だ。
最寄りの逗子駅に到着。
電車でまずは逗子駅に到着。そこからはバスに乗って、だいたい15分ほど。
東京とは違ってコンビニは少ないし、交通の便も悪い。でも、東京にはないその不便さがなんだか心地いい。
スマホの地図とにらめっこしながら目的地へと向かう。小旅行をしている気分だ。
考えごとをしていると、あっという間に目的地へと到着した。
『三角屋根 パンとコーヒー』は名前の通り “三角屋根” がシンボルで、ご夫婦で営むお店だ。
オープン直後だというのに、さっそく行列ができている。
お客さんは地元の方だけでなく、遠方から訪れる方も多いんだとか。
さっそく入ってみよっと。
ずらりと並べられたパンは、どれもおいしそう。パンを作っているのは、妻のゆかさん。
早朝から下準備を行い、おいしいパンを届けてくれる。コーヒーを担当しているのは、夫の一道さんだ。
豆の焙煎工程から行い、こだわりの一杯を淹れてくれる。
分業制で、一道さんがパンを作ることも、ゆかさんがコーヒーを淹れることもない。
一道さん・ゆかさんのご夫婦らしい阿吽の呼吸で、お互いが干渉することなく、それぞれの仕事に集中しているのが分かる。
「夫婦で一緒のお店をやる。なんだか理想的だなあ。」
中庭のベンチに腰を下ろして、朝の空を見ながら考えた。
考えごとをしていると、お目当てのコーヒーとパンが到着。
「きたきた…!」
友達がインスタグラムに載せていて、ずっと気になってたんだよな。
普段は勉強やらサークルやら、なにかと理由をつけて、気になるお店へ遊びにいくことは少なかった。
それが、空いていることが多い朝の時間を使うことで、僕は今日新しいことを1つできた。
先延ばしにしていたことを、朝の時間を上手く使うことで、できることがたくさんありそうだ。
良い朝のスタートを切って。
中庭というシチュエーションも相まって、ぜいたくな時間を過ごすことができた。
時計を見ると、ちょうど昼を回ったばかり。
いつもなら、スマホを見ながらそろそろ起きようかなんて思う頃だけど、今、僕の目の前には逗子・葉山の海が広がっている。
“早起きは三文の徳” とは、このことを言うんだな。
さて、今日はこれから何をしようか。
取材後記
お店に着くと、まず目を引くのが建物の三角屋根。専門学校時代から、ゆかさんが将来持ちたいお店(食パン専門店)のイメージにあったとのこと。
そんなゆかさん、実はコーヒーが苦手。それでも、あるお店のコーヒーはおいしいと聞いた一道さんは、なんと店員としてそのお店で働き、何が違うのか研究したという。
取材を通して一道さんは、ゆかさんの “感覚” を大切にされていることが段々と分かってきた。
パンもコーヒーも、ゆかさんの感覚に共感した多くの方が、このお店のファンになるんだろう。
お店の内装や販売しているお菓子は、一道さんの知人や友人に依頼している。
「そのモノのストーリーを語れないと、置かないようにしています」とこだわりを感じさせる一方で、「商売っ気がないってよく言われちゃう(笑)」と、笑顔で話してくれた。
取材中、1人のお客さんが入ってきた。恐らく常連の方だと思う。
取材を一時中断して様子を見ていたんだけど、お客さんと一道さんがお話しされているところを見ていると、とても温かい雰囲気で。
お客さんとのほどよい距離感も、この店が愛される理由の1つなんだろうな。
僕らの友達について
■伊藤大輝(イトウ ヒロキ)
Instagram:@ito__hiroki |
今回訪れた場所はこちら
■三角屋根 パンとコーヒー
葉山にあるパンとコーヒーのお店。毎日食べていただけるシンプルなパンと、毎日飲んでいただけるコーヒーを作っています。 公式サイト:sankaku-yane.net Instagram :@sankaku.yane ※営業時間や定休日などは上記公式サイトの参照をお願いします。 |
記事の作り手について
■ヤマダ ユウキ – 取材・執筆
岐阜生まれ。あくせく働く25歳。服とコーヒーと筋トレが好きです。やさしいご縁に感謝して、日々感じていることを綴っていけたらと思います。 Instagram:@pochomukin4 |
■シミズ シュン – 撮影・編集
チトセの代表と編集長、カメラマンを務めています。”僕らが楽しく生きるために” をテーマに、親しい友人から話を聞いているような、そんな等身大のメディアを目指して。「楽しいから楽しむのではない。楽しむから、楽しいのだ。」という言葉を大切にして、日々を生きています。 Instagram:@shun_booooy |
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